肺癌
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32 巻, 2 号
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  • 3. 細胞診
    正岡 昭
    1992 年 32 巻 2 号 p. 153-159
    発行日: 1992/04/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
  • 1992 年 32 巻 2 号 p. 160-161
    発行日: 1992/04/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
  • Mucous Bronchograms の有用性
    小林 健, 高島 力, 上村 良一, 角谷 真澄, 鈴木 正行, 渡辺 洋宇
    1992 年 32 巻 2 号 p. 163-170
    発行日: 1992/04/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    肺門部肺癌とその二次変化の鑑別にっき18例に対しMRIを施行した.そして, 腫瘍と二次変化を同定するためのMRIの有用性について信号強度とT2強調像での索状高度高信号 (mucous bronchograms) の点から検討した.MRIの信号強度のみでは18例中10例 (56%) が鑑別可能であった.mucous bronchogramsを検討したところ, 二次変化を持つ18例中11例に認められた.この徴候を呈し切除された6例でこれがmucoid impactionに一致していた.この徴候と信号強度によるとMRIでは18例中13例 (72%) で腫瘍と二次変化の鑑別が可能であった.これはCTでの14例中7例 (50%) よりも良好であったが有意差はなかった.mucousbronchogramsはmucoid impactionを反映しており腫瘍と二次変化の鑑別に有用である.
  • 永田 忍彦, 高山 浩一, 宮崎 浩行, 平岡 克巳, 城戸 優光, 居石 克夫
    1992 年 32 巻 2 号 p. 171-175
    発行日: 1992/04/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    高齢者肺癌の実態を明らかにするため, 剖検例を対象として70歳以上 (高齢者) と60歳未満 (若年者) の肺癌症例の生存期間, 背景因子, 死因を比較検討した.高齢者の方が発症後肺癌と診断されるまでに時間を要していたが診断時IV期症例は少なく, 剖検時に腫瘍が見られた臓器数も少なかった.組織型では扁平上皮癌が高齢者に多い傾向があった.生存期間は高齢者の方が短い傾向はあったが, 有意差は見られなかった.背景因子ではリンパ球数が高齢者において有意に低下していた.高齢者の肺癌は若年者に比し進行が遅いことが示唆された.また抗癌療法をうけて死亡するまでの期間は高齢者で短い傾向があったが, 高齢者では他病死の割合が多く, そのため生存期間が見掛け上短くなっている可能性が考えられた.
  • 宮本 宏, 秋田 弘俊, 原田 真雄, 磯部 宏, 羽田 均, 石黒 昭彦, 藤野 通宏, 加藤 政和, 岡安 健至, 川上 義和
    1992 年 32 巻 2 号 p. 177-184
    発行日: 1992/04/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    切除肺癌の核DNA量を測定し, また, ras癌遺伝子産物p21蛋白の発現を免疫組織化学的に調べ, それらの肺癌患者の予後における意義を検討した.DNA量を測定した84腫瘍のうち, 19例 (23%) がDNA diploid腫瘍であり, 65例 (77%) がaneuploid腫瘍であった.rasp21の染色性をみた91例のうち, 58例 (64%) が陽性 (weak+strong腫瘍) であった.DNAdiploid腫瘍患者の5年生存率は61%, aneuploid腫瘍患者は35%であり, aneuploid腫瘍患者の予後は有意に不良であった (p<0.01).p21-negative腫瘍患者の5年生存率は64%, p21-weakは38%, p21-strongは12%で発現性が強い症例ほど予後は不良であった.病期, 核DNA ploidy, ras p21発現性の3因子を組み合わせて, Coxの重回帰型生命表を用い, Risk scoreを算出した.Risk score3.0以下を低危険群, 3.1から5.0までを中危険群, 5.1以上を高危険群の三群に分類すると, 低危険群の5年生存率は100%と全員が生存しており, Riskscoreが大きくなるほど予後が不良であった (p<0.0001).以上より, 予後リスク分類は肺非小細胞癌患者の術後予後の推定に有用である.
  • 孤立腫瘤影のX線像所見と検出成績
    森 雅樹, 高畠 博嗣, 笹岡 彰一, 名取 博, 鈴木 明
    1992 年 32 巻 2 号 p. 185-192
    発行日: 1992/04/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    肺腫瘤影のX線学的特徴とその検出成績に関して検討した.肺野型小型肺癌192例および対照118例の胸部単純正面像を無作為順に27名の医師に読影させ, 腫瘤影の存在部位と4段階の確信度を記入させた.確信度を3~0点にスコア化し, 見落しや部位の誤認は0点とした.確信度の平均値を腫瘤影の検出スコアとした.腫瘤影の径を計測し, X線学的特徴として腫瘤影の濃度, 辺縁不明瞭性, スピキュラ形成, 血管収束像, 胸膜陥入像および腫瘤影と後肋骨または前肋骨との重なりの程度について評価しスコア化した.腫瘤影の82%は検出され, 18%は見落とされた.腫瘤影の径と検出スコアの間には, ごく弱い正相関を認めた.腫瘤影の濃度, スピキュラ形成, 血管収束像, および腫瘤影と後肋骨の重なりの程度の各スコアでは, 検出スコアとの間に相関を認めた.しかし, 辺縁不明瞭性や腫瘤影と前肋骨との重なりの程度は, 検出スコアと相関しなかった.
  • 佐藤 浩昭, 菅間 博, 小形 岳三郎, 飯島 達生, 柴垣 徳彦, 矢澤 卓也, 長谷川 鎮雄
    1992 年 32 巻 2 号 p. 193-199
    発行日: 1992/04/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    胎児肺に発現が認められるSSEA-1関連抗原 (LewisY, Lewisx, sialyl Lewisx-1) の一部は生後も気管支腺に残存するといわれている.正常気管支腺および気管支腺細胞型腺癌におけるSSEA-1関連抗原の発現性を検討することを目的とし免疫組織化学的検討を実施した.症例は胎児, 小児剖検肺22例, 気管支腺細胞型腺癌5例を含む腺癌45例, 大細胞癌11例, 粘表皮癌2例, 腺様嚢胞癌1例を用いた.健常気管支腺の腺房細胞では細胞質に均質にLewisY, シアリルLewisx-1抗原が陽性であった.肺癌のうち粘表皮癌, 気管支腺型腺癌の全例において同上の抗原が細胞質に均質に染色された.他の細胞型の腺癌は全例において腺腔側膜発現様式を示し細胞質に均質な発現を認める例はなかった.以上の結果からSSEA-1関連抗原はその発現様式より気管支腺発生の肺癌を識別し得ると考えられた.
  • 枝国 節雄, 磯辺 真, 最所 正純, 足達 明, 掛川 暉夫, 堀内 雅彦
    1992 年 32 巻 2 号 p. 201-206
    発行日: 1992/04/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    グルコースとアミノ酸を輸液することがCDDPの腎毒性を軽減するのに有効であるかどうかを検討した.対象はCDDPを投与した肺癌患者でこれらを輸液方法によって2っの群に分け, その腎機能を検討した.1つの群はCDDP投与当日とその翌日にグルコースを100グラム/日投与した群 (A群) であり, もう1つの群はグルコースを200~250グラム/日とそれに加えてアミノ酸を40グラム/日を投与した群である (B群).その結果, 尿細管機能を反映するfractional excretion of β2 microglobulin (FEBMG), N-acety1-β-Dglucosaminidase指数 (NAGindex), 尿中γ-GTP排泄量のCDDP投与後の上昇はA群に比べB群が抑制され, CDDP投与前値への回復もB群が早い傾向がみられた.よってCDDP使用時に従来よりも高濃度のグルコースとアミノ酸を輸液することはCDDPによる腎機能障害の軽減に有効であることが示唆された.
  • 片野 進, 早川 和重, 斉藤 吉弘, 見供 修, 中山 優子, 古田 雅也, 三橋 紀夫, 新部 英男
    1992 年 32 巻 2 号 p. 207-212
    発行日: 1992/04/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    二高齢者肺癌に対する根治的放射線治療の有用性にっいて検討した.対象は, 当科で1976~1985年の間に根治的放射線治療を行った75歳以上の非小細胞性肺癌I~III期症例57例である.治療成績は同期間に根治照射を行った75歳未満症例127例と比較検討した.高齢者群の治療成績は75歳未満群と比較して, 明らかな差は認められず, 高齢であることが放射線療法の予後を左右する因子とはならず, むしろ, 高齢者はより放射線療法の適応となる可能性を持っていると考えられた.ただ, 照射法としては, 照射野をより小さくし, 総線量も治癒線量の下限の60Gyとするなどの配慮が必要と考えられた.また高齢者では, とくに治療後のQOLについて十分な配慮も求められる.
  • 由田 康弘, 井内 康輝, 米原 修治, 立山 義朗, 西阪 隆, 山岡 直樹, 津谷 隆史, 長谷川 健司, 山木戸 道郎
    1992 年 32 巻 2 号 p. 213-222
    発行日: 1992/04/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    腫瘍径3cm未満の小型末梢肺腺癌切除例52例を対象に, AgNORs染色を行い病理組織学的所見と比較し予後との関係を検討した. 核異型度及び核分裂指数とAgNORs数との間に有意な (P<0.01) 相関を認めたが, 組織分化度や病期分類との相関は認めなかった. 一方, AgNORs数によって3群 (AgNORs<2.5, 2.5≦AgNORs<4.0, 4.0≦AgNORs) に分けると, AgNORs数の少ない群は, 有意に高い生存率を示したが, 病期I期の30例のみで検討すると, 3群間の生存率に有意な差はなかった.
  • 野沢 悟
    1992 年 32 巻 2 号 p. 223-232
    発行日: 1992/04/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    薬剤耐性における養子免疫療法の有用性を推測するため, 肺癌患者の胸水から肺小細胞癌細胞株 (STC1) と肺非小細胞癌細胞株 (LO301) およびそれらのシスプラチン耐性細胞株 (STC1/CDDP, LO301/CDDP) を樹立して, それらの細胞株に対する自己のリンパ球の細胞傷害性を比較検討した.MTT assayを用いた薬剤感受性試験では, STC1/CDDPは, CDDP, MMC, VCR, CPA, VP-16について耐性が認められ, LO301/CDDPは, CDDP, ADM, MMC, VCR, VP-16について耐性が認められた.IL-2加で培養した自己のリンパ球は, どちらも薬剤耐性細胞株に対して高い細胞傷害性を有していた.invitroのautologousな系を用いたこれらの結果から, 薬剤耐性を示した肺癌に対する養子免疫療法の有用性が示唆された.
  • 糸井 和美, 平田 敏樹, レシャード カレッド, 高嶋 義光
    1992 年 32 巻 2 号 p. 233-237
    発行日: 1992/04/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    髄外性形質細胞腫は比較的稀な疾患であり, 好発部位は口腔及び上部気道に発生するものが一般的である.今回我々は肺原発の形質細胞腫を経験したので報告する.症例は60歳の女性である.自覚症状は認めないが胸部X線写真上異常陰影を指摘され精査目的で当院を受診した.気管支鏡下の生検では組織診断がつかなかったため, 全身麻酔下に肺部分切除術を施行した.組織診断は髄外性形質細胞腫であった.腫瘍細胞は免疫組織化学的にIgG-λ に選択的に染色された.血液検査では骨髄腫蛋白は認められなかった.患者は手術後4年3カ月の現在健在である
  • 丸山 篤敬, 曽根 脩輔, 酒井 文和, 清野 邦弘, 小泉 知展, 森本 雅己
    1992 年 32 巻 2 号 p. 239-244
    発行日: 1992/04/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    14年間の透析歴をもつ患者に発生した肺の扁平上皮癌に高度の石灰沈着が認められた.従来の報告では稀なX線所見と思われるので, そのX線像を中心に報告した.術前の高分解能CT像では腫瘍全般に石灰化像が認められ, 腫瘍中心部では殊に密な石灰化像が認められた.摘出肺の伸展固定標本のCT像および軟X線像でもこれが再現された.術前の骨シンチグラムでは, 腫瘍への集積像および腫瘍以外の肺野においてもびまん性の集積像が認められた.典型的な高カルシウム血症や副甲状腺機能亢進症は証明されなかったが, 本例の腫瘍への高度の石灰沈着, 並びに肺へのびまん性石灰沈着は慢性腎不全と長期の透析に伴う転移性石灰沈着と考えなければ説明できないと思われた.今後長期透析症例の増加に伴って類似例が増加する可能性があり, 腫瘍内での石灰化像の存在を肺癌と良性腫瘤の鑑別点とする従来のX線診断基準の適用に際して留意すべき事項と考える.
  • 藤野 道夫, 木村 秀樹, 山口 豊, 馬場 雅行, 井関 徹, 杉田 憲治
    1992 年 32 巻 2 号 p. 245-251
    発行日: 1992/04/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    症例は42歳男性.全身倦怠感発熱を主訴とし胸部X線写真上, 右上肺野胸壁に接して鶏卵大の腫瘤陰影を認め, 術前白血球数60.6×103/mm3, 血小板数736×103/mm3と高値を示した.右上葉S1原発肺大細胞癌c-T3N0M0の診断にて右上葉, 胸壁合併切除およびR2bリンパ節郭清術を施行後, 白血球, 血小板および腫瘍マーカーは正常範囲になった.腫瘍細胞を培養しヌードマウス皮下に移植したところ, 経時的に腫瘍の増大とともに白血球や血小板は正常範囲上限の2倍以上の増加を認めた.また培養上清中, GM-CSFおよびIL-6活性の亢進をELISA法にて確認した.本症例は, 白血球だけでなく血小板も増加したCSF産生腫瘍と考えられたので, 若干の文献的考察も加え報告した.
  • 伊藤 和彦, 若林 昌哉, 張 高明, 鈴木 栄一, 本間 慶一, 荒川 正昭
    1992 年 32 巻 2 号 p. 253-258
    発行日: 1992/04/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    症例は68才, 男性.1980年より, 胸部異常陰影あり, 徐々に拡大した.1985年, 開胸肺生検により, 非ポジキンリンパ腫 (びまん性, 小細胞型) と診断した.血清中にモノクローナルIgG (κ) の増加を認めたが, ステロイド治療にて軽快した.その後, 徐々に肺病変が進行し, 血清中にモノクローナルIgM (κ) の増加も加わった.1991年3月, 当科に再入院し, 経気管支肺生検 (transbronchial lung biopsy=TBLB) で, 悪性リンパ腫の再燃と診断し, ステロイド治療にて経過観察中である.biclonal gammopathyを示す悪性リンパ腫はきわめてまれで, 本症例では, その診断にTBLBが有用であった.また, 腫瘍細胞の増殖・分化, 偽リンパ腫との異同につき, 若干の文献的考察を加えて報告する.
  • 村山 淳一, 橋本 健一, 矢野 平一, 吉澤 靖之, 長谷川 鎮雄
    1992 年 32 巻 2 号 p. 259-264
    発行日: 1992/04/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    才の男性が咳漱, 血痰を主訴として入院し, 肺線維症に合併した右S4原発の肺腺癌, T2N2M1 (PUL) と診断された.Cisplatin, Ifosfamide, Vindesineによる化学療法2クール開始20日目に紫斑, 腹痛, 血尿および蛋白尿をきたし, Henoch-Schönlein紫斑病と診断された.皮膚生検像では軽度の血管炎を認め, 血中Immune complexは軽度に増加していた.ステロイドに対し反応良好であった.経過から原因抗原は腫瘍細胞由来または薬剤由来と推定される.
  • 宮田 佐門, 出町 洋, 泉 三郎, 能登 啓文, 松井 一裕, 北川 正信
    1992 年 32 巻 2 号 p. 265-269
    発行日: 1992/04/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    症例は32歳男性.咳と前胸部痛を主訴として来院.胸部X線写真では右肺門の腫瘤影, 頸部の皮下気腫および縦隔気腫を認めた.CTでは右下気管支幹に腫瘍があり, 同部の強い狭窄と右肺下葉の過膨張がみられた.肺癌の疑いで右肺全摘術が行われた.病理学的に右下幹は腫瘍によりほとんど閉塞し, 組織学的にカルチノイドであった.縦隔気腫は右下幹の強い狭窄によるcheck valve mechanismがあり, 右下葉の肺胞内圧が上昇して一部の肺胞に破裂が起こり, 空気が肺門から縦隔に達したものと推定された.本例は気管支カルチノイドに縦隔気腫が合併した例としては初めての報告である.
  • 福岡 和也, 塩崎 道明, 古西 満, 濱田 薫, 長 澄人, 成田 亘啓
    1992 年 32 巻 2 号 p. 271-277
    発行日: 1992/04/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    症例は72歳, 女性.Hugh-Jones III度の労作時呼吸困難を主訴として入院.胸部X線写真にて右胸水貯留を認め, 胸膜生検から癌性胸膜炎 (腺癌) と診断.MMC, OK-432による胸膜癒着術を施行したが, 被包化胸水の遺残と肺の癌性リンパ管症を併発した.その後, 胸腔内カテーテル挿入部に皮下浸潤による腫瘤を触知するとともに右体幹を中心としたびまん性の皮下腫脹と右腋窩リンパ節腫脹が出現, 胸, 腹部CTでは右体幹の皮下組織に広範囲に及ぶ網目状の高吸収域を認めた.これらの所見からびまん性皮下浸潤を疑い, CBDCA, VP-16による全身化学療法を施行するも奏効せず, 呼吸不全に陥り死亡.剖検の病理組織所見から, 本症例にみられたびまん性皮下腫脹の原因は右肺下葉原発の低分化型腺癌の胸膜, 胸壁から皮下組織への直接浸潤と皮膚の癌性リンパ管症によるものと考えられた.
  • 阿部 良行, 中村 雅登, 加藤 優子, 小川 純一, 井上 宏司, 多田 伸彦
    1992 年 32 巻 2 号 p. 279-284
    発行日: 1992/04/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    症例は56才男性.胸部異常陰影を指摘され, 肺癌の術前診断で, 左下葉切除・リンパ節郭清術施行 (病理診断: 大細胞癌, T2N1M0).術後6ヵ月, 急性腹症で緊急入院し, 諸検査で肺癌の副腎転移が疑われた.はっきりした感染がないにもかかわらず, 白血球数は21,800/μlと異常高値を示した.疹痛軽減を目的に腹部腫瘤摘出術施行し, 病理学的に肺癌の転移と診断された.術直後, 白血球数は低下傾向を示したが, 再上昇し, 術後23日目に腫瘍死した.死亡直前の白血球数は46,500/μlであった.血清中の顆粒球コロニー刺激因子 (G-CSF) は146pg/ml (正常<60) と高値を示し原発巣および転移巣の腫瘍組織より抽出したRNAをノザンプロット法で解析し, 両者にG-CSFのmRNAの発現を認めた.本症例では, 腫瘍細胞での自律的なG-CSF遺伝子の発現と血清中へのG-CSFの過剰分泌が分子生物学的に証明され, 白血球増多症に対する腫瘍産生性G-CSFの関与が明らかにされた.
  • 1992 年 32 巻 2 号 p. 285-298
    発行日: 1992/04/20
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
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