1994 年 34 巻 4 号 p. 531-535
症例は61歳の女性. 主訴は湿性咳噺, 労作時呼吸困難で, 胸部X線上両側中下肺野に広範な浸潤影を認め, 精査加療目的に入院. 入院時より黄色透明な喀痰が多く気管支漏の状態にあった. CTでは特徴的なCT angiogram signを認め, TBLBにより, 肺胞上皮癌と診断した. 一般状態不良のため, 化学療法は施行し得ず, 漸増し約500mlに達する気管支漏に対し, インドメタシン吸入を試行した. 痰量は減少しなかったが, 粘調度が増加したことにより喀出が容易となり, 呼吸困難の改善が得られた. 剖検にて両側肺にびまん性に拡がり多量の粘液を伴う肺胞上皮癌を確認した.