肺癌
Online ISSN : 1348-9992
Print ISSN : 0386-9628
ISSN-L : 0386-9628
癌性心嚢炎による心タンポナーデに対し胸骨穿孔下心嚢ドレナージを施行した原発性肺癌36例の検討
淀縄 聡三井 清文赤荻 栄一鬼塚 正孝石川 成美佐藤 幸夫台 勇一木下 朋雄友安 信三井 利夫
著者情報
ジャーナル フリー

1996 年 36 巻 6 号 p. 731-737

詳細
抄録

癌性心嚢炎による心タンポナーデを発症した原発性肺癌36例に対し, 当科で考案した胸骨穿孔下心膜切開による心嚢ドレナージを施行しその治療成績を検討した. 心タンポナーデ発症時の随伴症状は癌性リンパ管症, 癌性胸膜炎, 遠隔転移, SVC症候群などで, 進行例が多かった. 排液のみは17例, 局所注入療法は19例に行った. ドレーン抜去例は30例でドレナージ期間は3日から30日まで平均13.4日であった. ドレナージ後7例に化学療法, 放射線療法を行い, 30例中27例はドレーン抜去後30日以上心嚢液の再貯留, 心タンポナーデの再発を認めず, また13例は一時退院が可能であった. 合併症は術中出血の1例であった. 胸骨穿孔下心嚢ドレナージは心タンポナーデを安全に, かつ速やかに改善させ, 患者のQOLを向上させる優れた方法と考えられた. 予後は中間生存期間78日と不良であるが, 死因のほとんどは肺癌進行による呼吸不全であった.

著者関連情報
© 特定非営利活動法人 日本肺癌学会
前の記事 次の記事
feedback
Top