肺癌
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子宮平滑筋肉腫肺転移の1切除例
寺本 晃治山下 直己桑原 正喜松井 輝夫松原 義人
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2001 年 41 巻 3 号 p. 243-247

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抄録

子宮平滑筋肉腫肺転移の1切除例を経験したので報告する. 症例は57歳の女性で1997年2月に子宮平滑筋肉腫に対して単純子宮全摘術及び両側付属器摘除術を受け, 以降全身化学治療を6コース受けた. 1999年11月の胸部レントゲン写真で右肺に円形陰影が認められ肺転移と診断され全身化学治療を3コース受けた. しかし肺病変の縮小を認めないため2000年1月に当科を受診した. 胸部CTでは右S2とS10に円形陰影が認められた. 原発巣はコントロールされており, 他に遠隔転移を認めないことより手術適応のある転移性肺腫瘍と診断して切除術を施行した. 手術は右S2区域切除と右S10部分切除を施行, 腫瘍径は各々22×18×25mm, 12×11×13mmであった. 病理組織検査では平滑筋への分化を示す紡錘形細胞が増生しており多数のmitosisが見られSMA陽性, Vimentin陽性であったため子宮平滑筋肉腫の肺転移と診断された. 術後1年目の現在, 再発なく外来通院中である. 子宮平滑筋肉腫は化学治療や放射線治療が有効ではなく進行も速い. 肺転移巣においても同様であるため適応を満たすときは速やかな外科切除が望ましいと思われる.

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