2013 年 82 巻 3 号 p. 83-98
ベトナムはWHOのハンセン病削減目標値を達成したものの、社会復帰が困難な状況に置かれた患者・元患者が多数存在しており、そうした患者群の生活状況やニーズについて明らかにされていない。本稿では包括的健康関連尺度であるSF-36v2を使用し、ベトナム国内2か所の病院の患者群と一般群のQOLを測定した。10-29歳代の若年患者層においては日常役割機能 (身体)、身体の痛み、全体的健康感、活力、社会生活機能、日常役割機能 (精神) の各下位尺度スコアが一般群と比較して有意に低かった。一方、中高年齢層になると患者群と一般群との間に有意差のみられる項目は少なく、患者群と一般群にはほとんど差がないという結果となった。病院間の比較では日常役割機能 (身体)、日常役割機能 (精神) の項目に有意差がみられ、自立支援プログラムを実施している病院における患者群の各下位尺度スコアが有意に高かった。患者のQOLを高めるためにはこうしたプログラムの利用も有効であると考えられる。