日本ハンセン病学会雑誌
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原著
邑久光明園におけるサリドマイド投与例の解析
松木 孝之岡野 美子青木 美憲石田 裕畑野 研太郎熊野 公子
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2014 年 83 巻 3 号 p. 111-116

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抄録

 国立療養所邑久光明園で1978年以降のサリドマイド投与例のうち、2011年5月の時点で生存する20例について、2型らい反応の臨床像と菌検査結果とサリドマイドの投与歴の関係をretrospectiveに調査した。サリドマイドの投与量は総投与量、1日平均投与量、1日最高投与量、1日最低投与量、投与リズムを検討した。サリドマイドの効果は19例にみられ、明確な副作用の記載はなかった。サリドマイドの用量では、1日平均投与量は19mgである。1日最高投与量は、100mg以上が3例 (15%) であり、50mgが3例 (15%)、他の14例 (70%) では40mg以下で、治療効果が得られている。ほとんどの症例で漸減法が行われていたが、丁寧に試行錯誤しながら治療に導いたことが読み取れる。わが国における2型らい反応に対するサリドマイドの投与量の検討は、あまり行われていない。今回の検討の結果からみると、諸外国で用いられている投与量よりも少量で、現在の日本のガイドラインで推奨されている1日50〜100mgよりも少量でも2型らい反応をコントロールできる可能性が示唆される。

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