日本ハンセン病学会雑誌
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米国におけるハンセン病政策の変遷
佐藤 元Janet E. Frantz
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2005 年 74 巻 1 号 p. 23-41

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抄録

米国連邦政府は1905年にハワイに施設を設置し、ハンセン病の調査・治療を目的として患者を入所させる権限を医務総監に付与した。続く1917年には国立癩療養所の設置、医務総監による強制入所権限、療養所勤務者に対する危険手当が立法化され、1922年にルイジアナ州カービルで療養所の運営が開始された。プロミンのハンセン病への応用は1941年に療養所で開始されて徐々にその有効性が報告されたが、同時期に制定された公衆衛生法(1944)は強制入所権限を含み、基本的に旧法を継承した。一方、軽快退所基準は改定され、感染期にある患者でも一定の条件を満たせば退所が可能となった。その後1950年代になり、入所者を原則的に退所・社会復帰させる方針が掲げられたが、患者団体等の反対で十分な効果は得られなかった。強制入所が法律から削除されるのは1985年、療養所が長期入院療養者の受入を正式に停止したのは1997年であった。

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