高次脳機能研究 (旧 失語症研究)
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シンポジウム:アナルトリーと発語失行
非流暢性発話の症候学
松田 実
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2007 年 27 巻 2 号 p. 139-147

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抄録
  純粋語唖10 症例の病巣検討,および前方病巣をもつその他の失語症例の症状と病巣との対応から,失構音の責任病巣は中心前回のなかでも上下方向では中部から下部にかけて,前後方向では中心前回の後方部であると推測された。島やBroca 領域は失構音とは無関係であった。Broca 領域損傷の言語症状は軽症ではあるが,病初期には全例が無言あるいは寡黙になることが重要な所見である。超皮質性運動失語では文の構成障害や自由発話での語や呼び出し·選択の障害があり,こうした障害はBroca 失語においても認められる。したがって,非流暢性発話の要因を失構音や発話衝動の低下のみに求めるのは単純化のしすぎであり,重要な病態機序を見逃す原因になることを指摘した。
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© 2007 一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
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