高次脳機能研究 (旧 失語症研究)
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27 巻 , 2 号
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特別講演
  • John P.J. Pinel
    2007 年 27 巻 2 号 p. 125-132
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/07/01
    ジャーナル フリー
      Canadian biopsychologist, John Pinel developed an acoustic neuroma, but it was not diagnosed by his family physician. Because of his training and experience as a biopsychologist, Professor Pinel was able to diagnose his own tumor. The tumor was subsequently excised, but not without life-threatening complications. Professor Pinel subsequently designed his own program of rehabilitation based on recent research on neuroplasticity, and his recovery was excellent. In this article, Professor Pinel relates his tumor-related experiences. Two aspects of Professor Pinel's experiences are emphasized. First, he emphasizes ways in which he reacted to his tumor and treatment that were unconventional because of his years of experience as a professor of biopsychology. Second, he emphasizes important insights that he learned from his personal brain-related experiences—things that he did not fully appreciate, despite his considerable experience as a teacher and researcher of biopsychology.
シンポジウム:アナルトリーと発語失行
  • 田邉 敬貴
    2007 年 27 巻 2 号 p. 133-134
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/07/01
    ジャーナル フリー
  • 笹沼 澄子
    2007 年 27 巻 2 号 p. 135-138
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/07/01
    ジャーナル フリー
  • 松田 実
    2007 年 27 巻 2 号 p. 139-147
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/07/01
    ジャーナル フリー
      純粋語唖10 症例の病巣検討,および前方病巣をもつその他の失語症例の症状と病巣との対応から,失構音の責任病巣は中心前回のなかでも上下方向では中部から下部にかけて,前後方向では中心前回の後方部であると推測された。島やBroca 領域は失構音とは無関係であった。Broca 領域損傷の言語症状は軽症ではあるが,病初期には全例が無言あるいは寡黙になることが重要な所見である。超皮質性運動失語では文の構成障害や自由発話での語や呼び出し·選択の障害があり,こうした障害はBroca 失語においても認められる。したがって,非流暢性発話の要因を失構音や発話衝動の低下のみに求めるのは単純化のしすぎであり,重要な病態機序を見逃す原因になることを指摘した。
  • 高橋 正
    2007 年 27 巻 2 号 p. 148-159
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/07/01
    ジャーナル フリー
      クモ膜下出血後,左前頭葉領域に梗塞を起こした軽度ブローカ失語例が呈した発話運動面の症状,すなわち,(1)無意味3 音節の反復発話困難,(2)有声閉鎖子音の無声化,(3)狭母音無声化困難,の3 点について音声分析的手法で検討した。(1)はブローカ失語の発話運動障害の検索に有効であり,かつ有意味語も加えた反復練習は発話運動面の向上に寄与しうる課題であり,(2),(3)は共通基盤として喉頭機能と構音器官とのタイミング制御の問題があり,ブローカ失語における AOS の音声学的レベルの事象として重要であると考えられた。とくに,(3)は AOS の臨床特徴である「発話速度低下」,「音·音節の引き伸ばし」などと関連が深い事象であることが示唆され,その改善過程の検索には音声分析的手法が有用であった。用語に関しては特別な主張はなく,“使い慣れた表現”を使えばよいのではないかという立場であり,本論では発話失行を用いた。
  • 水田 秀子
    2007 年 27 巻 2 号 p. 160-169
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/07/01
    ジャーナル フリー
      “非流暢な”発話を呈する後方病変例を報告した。90 歳,右利き,男性,側頭葉外側部から頭頂葉にかけて散在性の病変を有した。理解は良好。発話量は多くはないが,統辞形態は変化に富み,音韻性の誤りが多くみられた。特徴的だったのは,言い直し,引き伸ばしながら話し,ピッチも異常となりがちで,歪みも認められた。復唱も同様だった。また復唱では,音韻性錯語のほかに,無関連な実在語へと誤り,深層失語の様相を呈した。非語の音読は保たれた。
      呼称の精査では,語彙そのものは良好に回収されていた。音韻弁別検査はやや低下,聴覚語彙判断はきわめて不良。押韻判断,同音異義語の判断,音韻削除などの音韻意識の検査も不良であった。
      本例は語形聾(word form deafness)に該当した。語の輪郭(超分節的特徴)としては捉えられるが,分析的には正確に捕捉できないと考えられた。発話の諸特徴は Levelt による言語モデルでは,音韻符号化のレベルのセグメントや韻律的枠組みがスペルアウトされる過程での障害である可能性を指摘した。本例の基底にある障害は,音構造を分節する能力の障害により説明可能であると推察された。
      音韻の障害は,広く失語症全般に認められるものであり,今後検討すべき点について言及した。
  • 正木 信夫
    2007 年 27 巻 2 号 p. 170-176
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/07/01
    ジャーナル フリー
      音声生成機構研究で培われた知見や観測技術を,発語失行を含む発話障害の研究や臨床に役立てることができるか。この問題に関連する話題を提供した。まず,音声生成過程を「Phonological level」,「Phonetic level」,「Articulatory level」の3 レベルに分け,すでに提案されている対応モデルを紹介した。各レベルに機序を持つ発話の障害について,これらのモデルを用いた説明を試みた。その上で各レベルの障害を聴覚印象のみで分離することの難しさを指摘した。最後に,診断精度向上に寄与すると思われる発話動態の観測技術や脳機能イメージング技術を紹介した。発話障害の理解を深めるためには,観測技術の開発,理論的なモデル構築,臨床データの蓄積の協調的進展が必要である。
原著
  • 石井 洋, 目黒 謙一, 赤沼 恭子, 山口 智, 森 悦朗
    2007 年 27 巻 2 号 p. 177-183
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/07/01
    ジャーナル フリー
      [背景]これまで大脳皮質基底核変性症 (CBD) に対する有効な治療法は知られていない。今回,CBD に SSRI を投与することで一部症状の改善を認めた症例を経験したので報告する。[症例]症例は 80 歳,男性,右利き,教育歴 6 年。2001 年ごろから転倒あり,2002 年 12 月ごろから発語困難。2003 年1 月,他院にて脳梗塞による仮性球麻痺と診断。その後,徐々に構音障害と左上肢機能低下が進行し,2004 年 5 月精査のため当科に入院。神経学的には構音障害,眼球運動障害,左上下肢のジストニアを認めた。認知機能では注意,遂行機能,構成の障害。頭部 MRI では,中心溝が右が強く開大。頭部 SPECT では右優位の血流低下。Boeve の CBD 臨床診断基準等に合致した。SSRI (パロキセチン10mg)を投与開始したところ,歩行とバランスの改善,認知面は注意·遂行機能の改善があった。[考察]CBD で欠乏しているセロトニンを補うことによる症状の改善が考えられた。
  • 船山 道隆, 小嶋 知幸, 名生 優子, 五十嵐 浩子, 佐藤 幸子
    2007 年 27 巻 2 号 p. 184-195
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/07/01
    ジャーナル フリー
      左半球の脳梗塞により失語症を発症し,徐々に改善していたが,約 1 年後の再発による右半球の脳梗塞にて音韻および仮名の処理を中心に失語症が悪化し,表記不能型ジャルゴンや語間代が出現し,2 年経過してもほとんど改善がみられない 68 歳の右利き男性の 1 例を報告した。初回発症からの経過から,本症例の急性期を過ぎた失語症の回復は対側半球の言語野対称部位が関与していたのではないかと考えた。本症例および過去の文献例より,失語症の機能回復が対側半球内の言語野対称部位によってなされた可能性のある症例が存在することを示した。また,新たな右半球損傷後に出現した表記不能型ジャルゴンや語間代を発話の運動制御の障害という観点から検討した。
  • 川崎 聡大, 市川 智継, 杉下 周平, 岡崎 聡子, 大槻 美佳
    2007 年 27 巻 2 号 p. 196-205
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/07/01
    ジャーナル フリー
      言語野近傍脳腫瘍に対する術中覚醒下脳機能マッピングについて,周術期神経心理学的評価と局在ごとの課題選択,陽性所見について検討した。対象は2002 年11 月~2005 年8 月に本院にて覚醒下言語野マッピングを行った 11 症例 12 病変である。方法 : 術中言語課題の検討と神経症状の経時的変動を把握するために標準失語症検査,記憶検査として Rey's AVLT,ROCFT,遂行機能検査として KWCST,非言語性知能検査として RCPM を実施した。結果 : 全症例とも術後 1 ヵ月時点で新規脱落症状を認めなかった。神経症状の軽微な症例についても周術期の高次脳機能の推移を把握することが可能であり,術中課題のプランニングに有効であった。術中タスクにおいては(1)陽性所見は術前の神経症状によって相違を示す,(2)皮質マッピングにおいては復唱を課題を加えることが重要,(3)刺激のタイミングにより陽性所見が変化することが明らかとなった。
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