佐渡島大佐渡山地北西斜面の風衝地に分布する高山帯の景観に類似した植生を調査し,積雪の時空間的不均一性が植物の棲み分けへ及ぼす影響を,冬季の地温変化および夏季の土壌水分量の違いから検討した.対象地域はスギ–ブナ林の中に位置し,矮小低木林,草地,裸地が広がる.夏季の土壌水分は草地で高く,矮小低木林で低い傾向がみられたが,この結果は積雪の時空間的不均一性に起因するとは言い難く,植物の棲み分けに直接影響を及ぼす要因と考えることは困難である.一方で,冬季の地温は草地において氷点下となる期間が長く,矮小低木林で短い.このことは積雪期間の短い草地において,寒冷な季節風に曝される期間が長期におよび,低温と乾燥の影響を強く受けやすい一方で,矮小低木林では積雪がこの影響を小さくする傾向にあり,積雪の時空間的不均一性が草本と木本の棲み分けに影響を及ぼす可能性を示唆している.