高次脳機能研究 (旧 失語症研究)
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シンポジウム:高次脳機能の局在とネットワーク
覚醒下手術からみた高次脳機能障害
(第31回総会 会長基調講演)
板倉 徹西林 宏起中尾 直之
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2008 年 28 巻 2 号 p. 156-162

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抄録

   言語関連野と頭頂葉連合野に病変を患者19 例に対して,術中覚醒下に大脳皮質を刺激してその反応を観察した。男性15 例女性4 例で年齢は18 歳から72 歳。腫瘍はグリオーマが14 例,転移性脳腫瘍が4 例,その他1 例であった。覚醒手術はプロポフォール麻酔下に皮膚切開と開頭を行い,その後覚醒下に皮質刺激を行った。言語関連野の術中刺激による反応は症例によるばらつきが著しかった。ただBroca 野やWernicke 野の刺激では言語停止が多くみられ,それぞれの近傍では言語の保続が観察されることが多かった。頭頂葉の術中刺激では右側では半側空間無視などは観察されなかった。左頭頂葉の刺激では肢節運動失行,手指失認,構成障害,口腔顔面失行や観念運動失行が皮質刺激で一過性に観察された。

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© 2008 一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
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