失書とリハビリテーションを考える上で,論議されるべき問題について提起した。1 つは,失行性失書に関し,失行性という呼称によって見失われがちな問題について,ことに表象レベルの検討の必要性について言及した。第2 に,語義聾に認められた lexical writing の紹介から lemma が果たす役割を考察し,漢字書字の障害レベルについて注意を喚起した。最後に,失語性の失書について,その書字分析から非流暢性の要因を探り,症例の検討を通して,リハビリテーションの成立に症候分析が重要であることを提示した。