高次脳機能研究 (旧 失語症研究)
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原著
進行性非流暢性失語 3 例の臨床的特徴の比較
─言語症状と脳画像所見から─
高ノ原 恭子栗山 長門近藤 正樹中川 正法長谷 斉
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2010 年 30 巻 3 号 p. 428-438

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抄録

進行性非流暢性失語を呈した 3 例について,標準失語症検査 (SLTA) を実施し,その言語症状,画像所見,原疾患について検討した。症例 1 は臨床診断の困難な変性性疾患,症例 2 はアルツハイマー病 (AD),症例 3 は大脳皮質基底核変性症 (CBD) が示唆された。3 症例ともに発語の非流暢性が顕著であったが,呼称と文字の理解は良好であった。これらは病変が前頭葉・側頭葉変性が先行し,後方領域は遅れて障害されるという変性過程の進行に基づく特徴のひとつと考えられた。また症例 3 は,症例 1,2 と異なり病初期から書字障害を呈していた。進行性非流暢性失語には病初期に書字障害は軽微で非流暢発語を主体としたタイプと,書字障害を伴う非流暢性発語を示すタイプの 2 つが存在することが示唆された。

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© 2010 一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
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