高次脳機能研究 (旧 失語症研究)
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イブニングセミナー
高次脳機能障害者と摂食・嚥下障害
熊倉 勇美
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2012 年 32 巻 1 号 p. 15-20

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抄録

脳血管障害などに起因する摂食・嚥下障害の患者は, (1) 低栄養・脱水, (2) 誤嚥性肺炎, (3) 窒息など, によって生命を脅かされる。また, 止むを得ず経管栄養などを選択すると, 口から食べる楽しみが奪われ, (4) QOL が低下する。言語聴覚士 (ST) は, 摂食・嚥下機能の回復, QOL の向上などに関わるリハビリテーションチームの一員であるが, 最近では高次脳機能と「食べること・飲み込むこと」に関連した問題にも取り組んでいる。中でも高齢者や認知症患者, さらに高次脳機能障害患者の食の問題 (ペーシング障害や拒食などからもたらされる栄養失調, 誤嚥性肺炎など) がトピックスとして取り上げられている。本稿では, 高次脳機能障害の中から半側空間無視の 2 症例を挙げ, 治療経過を紹介した。最後に, ST の立場から高次脳機能障害と摂食・嚥下障害に関して, 今後の展望と, 取り組むべき課題について論じた。

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© 2012 一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
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