高次脳機能研究 (旧 失語症研究)
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32 巻 , 1 号
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特別講演
  • 鹿島 晴雄
    2012 年 32 巻 1 号 p. 1-6
    発行日: 2012/03/31
    公開日: 2013/04/02
    ジャーナル フリー
    こころ”と“脳”は重ね描き (大森) の関係であり, 治療においてのみ両者の連繋は意味を持つ。“こころ”と“脳”の連繋には, “こころ”の現象を“脳”に繋げうる言葉で, “脳”の機能障害を“こころ”に繋げうる言葉で表現することが重要であり, そのような言葉を共有することがこれからの課題である。“こころ”と“脳”を治療という視点から重ね描き, 認知リハビリテーションに繋ぎえた前頭葉梗塞後に軽度の強迫傾向を示した一例を紹介した。
  • 苧阪 直行
    2012 年 32 巻 1 号 p. 7-14
    発行日: 2012/03/31
    公開日: 2013/04/02
    ジャーナル フリー
    前頭前野 (prefrontal cortex : PFC) は脳の高次情報の統合, 選択と調整を遂行する領域であり, その障害は記憶や注意のはたらきに影響を及ぼすことが知られている。とくに, 認知的制御を行う実行系の機能は PFC のはたらきにとって重要である。本稿ではPFC のもつさまざまなはたらきのうち, ワーキングメモリ, とくに言語性のワーキングメモリとその実行機能 (executive function) のはたらきをリーディングスパンテスト (reading span test : RST) やリスニングスパンテスト (listening span test : LST) を通して, 脳イメージングの研究を手がかりに考えてみる。とくに健常成人や高齢者のワーキングメモリについてその個人差や容量制約の視点から概観したい。
イブニングセミナー
  • 熊倉 勇美
    2012 年 32 巻 1 号 p. 15-20
    発行日: 2012/03/31
    公開日: 2013/04/02
    ジャーナル フリー
    脳血管障害などに起因する摂食・嚥下障害の患者は, (1) 低栄養・脱水, (2) 誤嚥性肺炎, (3) 窒息など, によって生命を脅かされる。また, 止むを得ず経管栄養などを選択すると, 口から食べる楽しみが奪われ, (4) QOL が低下する。言語聴覚士 (ST) は, 摂食・嚥下機能の回復, QOL の向上などに関わるリハビリテーションチームの一員であるが, 最近では高次脳機能と「食べること・飲み込むこと」に関連した問題にも取り組んでいる。中でも高齢者や認知症患者, さらに高次脳機能障害患者の食の問題 (ペーシング障害や拒食などからもたらされる栄養失調, 誤嚥性肺炎など) がトピックスとして取り上げられている。本稿では, 高次脳機能障害の中から半側空間無視の 2 症例を挙げ, 治療経過を紹介した。最後に, ST の立場から高次脳機能障害と摂食・嚥下障害に関して, 今後の展望と, 取り組むべき課題について論じた。
  • 前島 伸一郎, 大沢 愛子, 棚橋 紀夫
    2012 年 32 巻 1 号 p. 21-28
    発行日: 2012/03/31
    公開日: 2013/04/02
    ジャーナル フリー
    かつては Silent area と言われた前頭葉前野にも多くの脳機能が存在し, 人が生きていくために非常に大切な役割を果たすことが明らかとなってきた。前頭葉損傷では, 失語症や半側空間無視に加え, 記憶障害, 注意障害がみられる。また, 遂行機能障害に加え, 脱抑制や人格変化などの社会的行動障害, 発動性低下や無関心などの症状がみられる。前頭葉損傷を論じるためには, 前頭葉の機能解剖や病態生理を理解した上で, 詳細な評価を行わねばならない。ただし前頭葉機能検査の多くは, 限局した前頭葉病変に特異的な検査ではなく, 別の部位の損傷によっても低下がみられることもあるので注意が必要である。適切な評価を行い, 病状を正確に把握することは, 患者が快適な社会生活を送るための第一歩になると思われる。
原著
  • 山田 麻和, 松尾 理恵, 瀬戸 牧子, 佐藤 聡, 辻畑 光宏
    2012 年 32 巻 1 号 p. 29-37
    発行日: 2012/03/31
    公開日: 2013/04/02
    ジャーナル フリー
    脳梗塞後に, 拮抗性失行および口頭命令に対する左上肢の運動の困難さを認めた 61 歳の右利き女性例について報告した。拮抗性失行は強制把握を伴わず突発的に出現し, 行為の開始時あるいは行為の途中に多く認められ, 左手が右手の行為に対して反対目的の動作をとるという異常行為が主体であった。また, 左手の観念運動性失行を認めた。さらに, 口頭命令において左手の運動開始が困難あるいは開始までに時間を要す特徴的な症状を認めた。頭部CT では左前頭葉皮質下と脳梁膝部から膨大部にかけて低吸収域を認め, 脳血流シンチでは左に強く右により軽度の, 前部帯状回および下・中前頭回を中心とする広範な前頭葉の血流低下を認めた。本例の左手に見られた異常行動は間欠性運動開始困難と位置づけ, 超皮質性運動失語に伴う発話の発動性の低下および右前頭前野の機能低下による左手の動作の発動性の低下がより強調されて現れているものと解釈された。
  • 鈴木 雄介, 種村 留美
    2012 年 32 巻 1 号 p. 38-46
    発行日: 2012/03/31
    公開日: 2013/04/02
    ジャーナル フリー
    外傷性脳損傷患者の多くは神経行動学的変化を生じ, そのために家族介護者の多くが抑うつや不安などの心理学的苦痛を抱えている。本研究の目的は外傷性脳損傷患者の家族介護者の心理学的苦痛の軽減を図るための介入プログラムの効果を検証することである。16 名の参加者に週 1 回, 1 回4 時間で全 5 回の介入プログラムを実施した。内容は外傷性脳損傷の基礎知識, 高次脳機能障害への対応方法, アサーティブネストレーニングを応用したコミュニケーション技法訓練を中心に構成した。効果判定は GHQ-30, SDS, STAI, RAS を評価尺度とし, 介入前後およびフォローアップ (3 ヵ月後と 6 ヵ月後) の時点で分析した。介入前後およびフォローアップの分散分析では SDS は介入前とフォローアップ 6 ヵ月後に, STAI (状態不安) は介入前と介入後における平均値の比較で統計学的に有意な減少を認めた。
第35回日本高次脳機能障害学会 (旧 日本失語症学会) 学術総会講演抄録 一般演題
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