抄録
バビンスキー型病態失認とソマトパラフレニアについて考察した。とりわけ, 筆者の考える, 発現機序仮説について述べた。筆者の仮説に従えば, 左半身の麻痺に気づかないようにみえるのは, 実は決して麻痺している左半身の麻痺を否認しているのではない。右半球損傷によって喪失した左半身の「身体意識」が, 残存する「身体図式」を介して右半身に組み込まれ, 右半身が身体意識のすべてとなる。患者は, 実は麻痺している左半身の麻痺を否認している訳ではない。ソマトパラフレニアは, 自身に帰属しなくなった左半身と現実の麻痺肢との間の矛盾解決のために生じた, 誘発作話, 空想作話である。