高次脳機能研究 (旧 失語症研究)
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原著
アルツハイマー病において極めて緩徐な進行を示す一群について
─物忘れ外来における検討─
浅井 慈子臼木 千恵磯部 史佳佐藤 厚今村 徹
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2012 年 32 巻 4 号 p. 590-600

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抄録

   目的: 極めて緩徐な進行を示すアルツハイマー病 (AD) 患者の特徴を明らかにする。対象: 物忘れ外来 1 施設で初診時評価の 1 年後に MMSE を施行された AD 患者 122 名。平均年齢80.5±6.2歳, 平均 MMSE 得点18.7±4.6。方法: 初診 1 年後と 3 年後の間で MMSE 得点が低下しなかった患者を超緩徐進行 (VS) 群 (n=12) とし, 初診 1 年後時点の患者属性, 疾患属性および認知機能属性を VS 群とその他の患者 (n=110) との間で比較した。結果: VS 群は Alzheimer's Disease Assessment Scale (ADAS) の口頭命令課題と観念行為課題でその他の患者より有意に良好な成績を呈していた。結論:極めて緩徐な進行を示す AD 患者は, 失語, 失行といった新皮質症状がその他の患者より軽度であった。このような患者の一部, 特に高齢発症の患者は, 辺縁系神経原線維変化認知症などを有しているのかもしれない。

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© 2012 一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
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