2014 年 34 巻 1 号 p. 9-16
安静時機能的MRI (rs-fMRI) は脳全体の機能的結合性を簡便かつ鋭敏に解析できる方法として注目されている。被験者の負担が低く,短時間で測定が可能であり,認知症を始めとする精神神経障害を有する患者での測定に適している。安静時に最も強い機能的結合を示す神経ネットワークにデフォルトモードネットワーク(DMN) がある。DMN に含まれる部位はアルツハイマー型認知症でアミロイド沈着が出現する部位に一致し,認知機能障害の出現する前の段階からその結合性が低下することが明らかとなっており,早期診断に利用が可能である。また前頭側頭型認知症など他の認知症疾患の鑑別にも有用である。最近,グラフ理論を用いたネットワーク解析も有用性が明らかとなっている。今後,解析法の標準化,簡便化を行うことで rs-fMRI の臨床応用が進展し,認知症の早期診断に貢献することが期待される。