抄録
距離判断の障害は脳損傷後に出現することがあるが, その介入方法についての報告はない。今回距離判断の障害を呈した脳出血発症後6 年経過した症例のリハビリテーション経過を報告する。症例は障害への気づきがみられ, 代償手段を用いながら日常生活を送ることができていたが, 距離判断の障害は症例の日常生活や趣味活動に影響を及ぼしていた。距離判断の障害に対する機能的代償法として, 症例で保たれていた体性感覚を用いて距離を学習し, その後学習した距離を視覚にて確認し, 当該距離を学習していくボール投げアプローチを考案・実施した。約 1 ヵ月半の実施により, 症例の判断可能な距離が拡大し, 日常生活でも改善がみられた。発症後長期間経過した距離判断の障害に対して, 機能的代償法を用いることにより, 距離判断の障害に対して効果がみられる可能性が示唆された。