高次脳機能研究 (旧 失語症研究)
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セミナー II : 症例に学ぶ
音韻処理障害のメカニズム
大槻 美佳
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2018 年 38 巻 2 号 p. 197-203

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抄録

  非定型な症状を呈した患者を通して, 音韻処理について考察した。本患者は, 言語表出は, 自発話のみでなく, 呼称, 復唱, 書字など全ての表出で, 音韻性錯語, 新造語, 音韻性ジャルゴンが中心であったが, 一方, 言語理解は, 聴覚的には単語レベル, 視覚的には (文字呈示) , 文レベルでも可能であるという乖離を示した。また, 「1 音を聞いて, 該当する仮名文字を選択する」課題も全くできなかったが, 詳細に調べると「1 音」の弁別・認知は可能で, かつ, 「仮名文字」の弁別・認知も可能であることが明らかになった。本患者の症候から, いわゆる ‘音韻処理障害’ には, これまで言及されてきたような, 音韻の認知・喚起・選択・把持・配列などの障害のみでなく, 記号としての役割はある程度果たせるものの, 音響的な表出や文字表出という次のステップに利用できないという壊れかたもある可能性が推測される。

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© 2018 一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
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