2019 年 39 巻 2 号 p. 203-207
一般に, 障害のある人を支援の「受け手」に固定していないだろうか, ということが筆者の問題認識である。高次脳機能障害は, その症状ゆえに驚き引き込まれ, 全体に障害があるかのごとく錯覚しやすいが, 症状以外は普通であると認識することが重要である。脳血流の研究によれば, 自分の能力より少し上のレベルに向かって努力すると, 年単位で反対側半球などの脳血流が増え症状が改善するといわれている。
そこで, 地域生活のカギは障害者本人が障害があるため「できない」という考えから, 障害がありながらも小さい夢を実現し, そのような体験を積み重ねて自分の存在意義を再確認し, 主体性を再構築することにある。障害者が主体的に行動すれば, 医療者は後方支援に回ることが可能となる。
さらに, 一大危機を乗り越えた高次脳機能障害の人は支援の「受け手」でありながら「支え手」を担うことができる。そのことにより, 障害のある人とない人が双方向の関係となり, ともに学ぶ社会の実現につながるのである。