2024 年 8 巻 s2 号 p. s35-s38
災害の保存や継承を目的として、災害デジタルアーカイブの構築が行われている。近年、機械学習を用いた研究が多く行われており、被災状況の判定等の活用がなされている。一方で、アーカイブ構築に特化したモデルの構築事例は見当たらない。本論では、災害アーカイブ構築のコスト削減を目指し、画像分類手法を用いたモデルの適用を行う。その分類精度から災害アーカイブにおける適用可能性について議論を行う。ひのくに災史録の災害写真を用いてVGG16モデルを構築した。その結果、モデルの精度は72%程度であった。建物や熊本城などの特徴のある項目では正しく分類されやすく、水辺等の重複する要素を持つ画像の分類が難しいと考えられる。人間と比較すると判別モデルの精度が低い。一方、予測にかかる時間の削減や属人性を排除できる観点からアーカイブ構築作業の効率化が期待できるだろう。