認知症の診療に必要な脳画像の見かたについて, 画像所見の背景となる病理学的変化にも言及しながら概説した。原因疾患によって萎縮や血流低下をきたしやすい脳部位が異なるが, 画像診断では脳葉の区分と辺縁系の同定が必要になる。脳萎縮や血流低下の背景には, タンパク質の変性による神経細胞の脱落と, それに伴う組織の反応が存在する。一部の疾患では MRI における異常信号が診断の手がかりとなるが, この所見の病理学的背景は疾患によって異なる。今後は変性の原因となるタンパク質の蓄積を可視化する画像診断手法の臨床応用が望まれる。