2021 年 41 巻 4 号 p. 421-426
東京都および滋賀県内の指定特定相談支援および指定障害児相談支援事業所を対象に, 高次脳機能障害者・児への支援状況について質問紙調査を実施した。その結果, (1) 相談支援全利用者のうち高次脳機能障害者・児は 0 ~5 % 程度であり, (2) 未診断例が 4 分の 1 程度みられ, (3) 高次脳機能障害に関する相談が全くない事業所が半数を占め, 一部の事業所に相談が集中していることがわかった。また, 障害福祉サービス等を利用したいという希望はあったが「本人や家族の障害認識」「ニーズとサービスの不一致」「事業所職員, 他利用者との関係性」「対応できるサービス事業所の不足」等の理由で実際には利用に至らなかった例も一定数認められた。それらを補うための配慮や工夫として「意思疎通に関する配慮」「医療機関等専門機関の活用」「関係機関との情報共有」等が挙げられた。今後, 支援実績のある機関が, 地域の事業所と共に解決事例を積み上げて, 相談支援専門員のスキルを高めていく組織的な仕組みの構築と拡充が必要と考える。