高次脳機能研究 (旧 失語症研究)
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原著
在宅介護者の心理的負担感と心理的支援ニーズ─高次脳機能障害と認知症との比較─
越智 隆太浜本 加奈子緑川 晶
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2022 年 42 巻 3 号 p. 374-381

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抄録

  高次脳機能障害者の介護者は認知症者の介護者と同様に負担感が強いとされるが, 本邦では直接の比較検討がなされていない。本研究では, 在宅での介護負担感の比較および心理的支援ニーズとの関連を明らかにすることを目的とした。高次脳機能障害介護者 46 名, 認知症介護者 46 名に対し, Zarit 介護負担感尺度日本語版, WHO-5 精神的健康状態表, 在宅での心理的支援ニーズに関する項目, 当事者の身体・認知障害に関する項目について回答を求めた。結果, 介護者の群間で介護負担感や抑うつに有意な差はみられず, いずれも高い値を示していた。一方で, 介護負担感と当事者の身体・認知面の障害との関連は両群間で異なり, 心理的支援ニーズとの関連性についても高次脳機能障害と認知症の各介護者で違いがみられた。以上より高次脳機能障害と認知症の介護者は負担感が強いもののその背景や性質は異なっていると考えられた。

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© 2022 一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
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