2023 年 43 巻 2 号 p. 166-171
幻聴は精神科領域において最も一般的な症候の 1 つであり, その研究は主に統合失調症などの機能性精神疾患で論ぜられてきた。一方, 器質性精神疾患の幻覚は幻聴よりも幻視が特徴的であり, 幻視はレビー小体型認知症 (dementia with Lewy bodies : DLB) の中核症状の 1 つとして位置づけられている。 しかし DLB において幻聴は決して稀な症候ではなく, 我々の調査では, DLB 患者の約 3 人に 1 人が幻聴を有していた。また DLB の幻聴の大半は幻視とともに出現し, その多くが「幻視の人物が話す」という特徴を有していた。さらに幻聴の発現には, 妄想, うつ, 難聴, 女性などの因子が関与していた。DLB の幻聴は, そうした多様な因子が幻視に作用することによって引き起こされる可能性が考えられた。