抄録
松尾(2006)では,追従する動きに対して生き物らしさを感じる要因として,遅れ時間と距離について検討した。ただし,被験者数が少なく,提示した刺激ごとに形容詞対に対しての評定尺度での回答をを求めたため,判断が難しく,信頼性が必ずしも高くなかった。そこで,本研究では,一対比較法を用い,集団実験によって行った。対象の動きは,ポインタの動きに対して遅れ時間を0.5s,1sの2条件,ポインタに対しての距離のとり方を5dots,50dots,100dotsの3条件設け,約15秒間の刺激を6種類作成した。6種類の刺激を2つずつ組み合わせ継時的に提示し,4つの質問項目(意思がある,反応がよい,従順である,生き物らしい)にどちらの刺激がより当てはまるか回答を求めた。サーストンの比較判断の法則により距離尺度を求めた結果,全体的に遅れ時間が短いほうが,生き物らしいという回答であった。