人間生活文化研究
Online ISSN : 2187-1930
ISSN-L : 2187-1930
原著論文
Field notes on the dietary habits of the Mlabri hunter-gatherers in Thailand
Seiji OhsawaShu NimonjiyaAtsuko Shimoda
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2014 年 2014 巻 24 号 p. 234-244

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抄録

タイ北部の山岳地帯に暮らすムラブリ(Mlabri)は,20年前まで森で遊動生活を送る狩猟採集民であった.1990年代後半に政府主導の定住政策により定住生活と換金作物栽培を開始したが,現在でもなお,農閑期には森での狩猟採集に従事し,伝統的な食習慣を維持している.我々はムラブリの食習慣と食事の内容について3年間の調査を行い,彼らの伝統的な食事の習慣と食事内容について記録した.彼らの食生活はいたって簡素である.食料資源は,森での伝統的な生活で獲得された自然環境に関する豊かな知恵に基づき,狩猟と採集によって獲得される.道具は槍(khòt),鋤(khabok),鍬(soq),刃物(tòq/cok),火打ち石と火打ち金(kl.hlek)のみであり,食材は竹筒を用いて煮るか蒸し,また直接火にかけて焼くかして調理する.主食はヤム芋であるが,竹の子やヤシの茎,キノコのほかに多様な食材を用いている.動物性のタンパクもイノシシやシカ,サル,トリなど森で手に入るものから得ている.この研究は今までその全貌が未知であったムラブリの食生活について出来るだけ忠実に記述したものである.

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© 2014 大妻女子大学人間生活文化研究所
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