人間生活文化研究
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短報
児童英語教育におけるスキャフォールディングの前提
渡邊 万里子
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2015 年 2015 巻 25 号 p. 361-374

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抄録

本研究は,児童英語教育において児童が課題を自律的に達成できるようになるまでの過程を調査したものである.教師学習者間のインタラクションの効果を明らかにする訂正フィードバック研究と,ヴィゴツキーの発達の最近接領域(ZPD)の概念を核としたスキャフォールディング研究を応用し,児童英語教育の文脈に合わせた新たな分析の枠組みを設定した.その利点は,児童の学習活動を言語面に限定せずより包括的に捉えられること,スキャフォールディングを学習者の自律性をもたらす特別な支援として扱い,児童が自律的に課題達成するまでの過程を捉えられることにある.この枠組みに基づき,実際の児童の英語学習活動の記録をデータ化したものを分析し,児童が指導者とのインタラクションを媒介して自律的に課題を達成するまでの過程を記述した.分析の結果,その過程に4つの特徴があること,そして特定の種類の支援が機能しスキャフォールディングになるには,前提条件として児童に活動目的の理解が必要であることが明らかになった.

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© 2015 大妻女子大学人間生活文化研究所
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