2016 年 2016 巻 26 号 p. 103-106
【目的】マメ科植物における根粒形成過程において,植物ホルモンであるサイトカイニンが根粒形成(nodulation; Nod)ファクター伝達系に関与するとの報告は少数あるが,感染に伴うサイトカイニン合成の変化や合成されたサイトカイニンの受容に関する知見はほとんどない.本研究では,これらについて明らかにすることを目的とする.【方法】サイトカイニン合成遺伝子(IPT)とサイトカイニン受容体遺伝子(LHK1)の根粒菌感染に伴う発現の変化をRT-PCR 法で分析した.【結果】サイトカイニン合成系の最初期の遺伝子であるIPT の感染に伴う発現の経時的変化では,感染後1分で最大の発現が見られ,IPT が根粒菌の感染によって活性化することが初めて見出された.次いで,サイトカイニン受容体遺伝子であるLHK1 については,感染後30 分で最大の発現が見られた.【考察】根粒菌の感染において宿主マメ科植物でサイトカイニン合成に関する遺伝子群が重要な働きをする可能性があることが考察される.また,受容体の遺伝子であるLHK1 についても,感染に伴う発現の経時的変化の分析により,根粒菌が宿主植物に感染してサイトカイニンが合成・蓄積に要する時間が30 分ほどかかることが示唆された.