人間生活文化研究
Online ISSN : 2187-1930
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子育て中の養育者のニーズと育児支援のあり方についての一考察
薊 奈保子向井 敦子
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2016 年 2016 巻 26 号 p. 157-161

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抄録

 本研究は,育児期女性が育児生活の中でどのような困難感をかかえ,どのような支援ニーズを持っているのか明らかにすることを目的としている.インタビューの対象者は,乳幼児の子どもを育てており,生活環境に大きな問題のない一般的な家庭の母親2 名であった.

 その結果,育児期女性がサポートを「助かる」「嬉しい」と好意的に評価することが,育児肯定感に繋がっている可能性が示された.このことから,育児期女性の肯定感を高めるためには,ニーズに沿った支援が必要不可欠であることが判明した.その人の置かれている環境や時期などさまざまな要因を考慮したうえでの利用しやすい支援が,今後検討されていくべきであろう.

 また,育児期女性は現状のサポートのみでは育児生活の負担が補いきれないと考えていることが判明した.しかし,本研究の調査対象となった女性2 名は,その足りていない分を自身が「ポジティブに捉える工夫をする」ことで補っていることが予想された.これをLazarusらの心理的ストレスモデルにあてはめて考えると,対象者の2 名は育児というストレッサーについて,自己をコントロールする「情動焦点型」のコーピングを用いてストレス事態に対処していたと捉えることができる.すべての側面において女性が「十分に満たされている」「全く不満がない」と感じられるサポートでなくとも,母親が現状をポジティブに捉えることができる環境を整えるサポートこそが育児期女性の肯定感に繋がる可能性があることが明らかとなった.

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© 2016 大妻女子大学人間生活文化研究所
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