人間生活文化研究
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育児期女性のwell-beingに繋がる要因とそれを支える支援
薊 奈保子
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2015 年 2016 巻 26 号 p. 162-167

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抄録

 本研究では, 仕事観, 育児観, ソーシャルサポートの3 つの概念が育児期女性のウェルビーイングとどのように関連するか明らかにすることを目的として, 調査を行った.

 研究1 の結果, ウェルビーイングは育児不安, パートナーとの関係性認知, 道具的・情緒的サポートの4 つの影響を受けやすい傾向が示された. その中でも特に育児不安とパートナーとの関係性は, 育児期女性のウェルビーイングに大きな影響を与えることが考えられた.

 研究2 の結果, 心理面のウェルビーイング低群は, 育児に対して「イライラ」, 「ストレス」などネガティブな考えを持っているのに対し, 心理面のウェルビーイング高群は, 「大変」と考えつつも「楽しい」, 「良い」と考えていることが明らかとなった.

 さらに同群は, 他者からのサポートに対し“もらっている”という感覚を持ち, 「楽」と好意的に評価していたが, 低群では, サポートを受けていてもそれに対する好意的な語りは見られず, サポートを受けていることへの認識が両群で異なることが示された.

 また, 心理面のウェルビーイング高群は, 困難や不安を喚起させる出来事に遭遇したとき, 視点を変え, 問題をポジティブに考えられる環境を自身で整えることで現状を肯定的に捉える工夫をしていた. これに対し心理面のウェルビーイング低群は視点の切り替えがうまくできず, 精神的安定が脅かされやすい様子がうかがえた.

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© 2018 大妻女子大学人間生活文化研究所
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