2016 年 2016 巻 26 号 p. 453-458
浴衣の製作において初心者が特に苦労する事として,縫いに入る前段階である「裁断や柄合わせ」が挙げられる.布の裁断が速やかにできるよう支援するための方法はこれまでにもいくつか研究されている.しかし,いずれの方法も実際に講義で使う際などには課題を抱えている点も多く,一般化されていないのが現状である.
そこで本研究では,着装時に柄ゆきが良い浴衣を製作できる反物の裁断法を見出し,和裁初心者でも柄合わせを簡単に行える手法について考察した.研究対象には代表的な浴衣地である注染(ちゅうせん)染めの反物を取り上げ,着装状態での浴衣の柄合わせの考察を試みた.さらに裁断・柄合わせの作業をスムーズに進めるための「柄合わせマニュアル」を制作し,その有用性を検討した.