人間生活文化研究
Online ISSN : 2187-1930
原著論文
大分県日田市地域の筑後川水系における泡状物質中のバイオマーカーの地球化学的特徴
井上 源喜川野 田實夫
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2017 巻 (2017) 27 号 p. 559-573

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抄録

大分県日田市地域の筑後川(三隈川)水系における泡状物質の成因を明らかにするために,泡状物質中のバイオマーカーの炭化水素,脂肪酸およびステロールの分析を行った.非環式炭化水素は奇数炭素優位のn-アルカン(C15~C35)および未同定の分岐アルカンが卓越し,少量のイソプレノイドアルカンが存在する.また,熱変性を受けたトリテルパンやステランがUCMH (unresolved complex mixture of hydrocarbons)とともに検出された.脂肪酸は短鎖n-アルカノイック酸(C12~C19)が多く含まれ,少量の長鎖n-アルカノイック酸(C20~C30)と分岐脂肪酸(イソ-,アンチイソ-C13~C17)が存在する.ステロールはコレステロールが主成分である.これらの特徴より,泡状物質中の有機物は珪藻を含むプランクトンなどの藻類起源の寄与が大きく,陸上植物や水生植物等の維管束植物および真正バクテリアの寄与は小さい.昆虫のユスリカChironomidaeなどのサナギが分岐アルカンの起源と考えられる.また,重油,潤滑油やアスファルトなどの石油関連物質やこれらの燃焼生成物が泡状物質の生成や安定性に寄与している可能性がある.

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© 2017 大妻女子大学人間生活文化研究所
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