2018 年 2018 巻 28 号 p. 508-510
本報告はハワイ語新聞に関する調査の4年目の研究成果として,19世紀末に日本に滞在していたハワイ先住民,デイヴィッド・ケアヴェアマヒによる旅行記の内容について予備的な分析を行う.ケアヴェアマヒはハンセン病治療のため来日し,日本人の医師である後藤昌文・昌直親子の治療を受けるために日本に滞在していた.滞在中にケアヴェアマヒが当時の日本を観察してハワイ語で記した旅行記は,複数のハワイ語新聞で「日本からの手紙」として掲載された.19世紀末に日本を訪れたハワイ先住民といえば,ハワイ王国のカラーカウア王が知られているが,ケアヴェアマヒのようないわば一般のハワイ先住民の日本滞在は論じられてこなかった.本稿ではこれまで注目されてこなかったハワイから日本への人の移動に光をあてる.