2018 年 2018 巻 28 号 p. 560-568
これまでの不登校に関する先行研究を見ると,比較的長期間に渡り,支援者が不登校児に関わり,改善した例が多く見受けられる.本稿では,筆者が関わった不登校事例の中から比較的短期間において,不登校から登校へと導くことができた事例を取り上げた.具体的には,中学校へ入学して不登校になり,登校するまでの経過を報告し,不登校指導において大切にしていきたい留意点について言及することを目的とした.一般的に「登校刺激」をすると,さらに状況が悪化して不登校児童生徒は不登校を堅持するとされている.しかし,学校に行かず,慢性化してルーチン化したメリハリのない生活を過ごさせるよりも,不登校になり比較的早い段階で生活を変革する意思をもたせるように,不登校になった課題を早々に聞き取り,丁寧に関わって解決することにより,長期化することを防ぎ,短期間での解決につながっていくものと考えられる.