2019 年 2019 巻 29 号 p. 287-292
本稿は,キャリア教育科目のひとつである「秘書学Ⅱ」の受講学生を対象に行った実践授業の効果を,客観的尺度である事前敬語テスト,事後敬語テスト,電話応対実技テストと,主観的尺度である受講学生の授業評価に関連する自由記述内容より検証したものである.
実践授業においては,いくつかの工夫を試みた.具体的には,教員が受講学生に対して個別指導する際には,必ず受講学生の良いところを見つけて褒めるよう徹底すること,受講学生二人一組によるロールプレイング後には,必ずお互いに話し合う時間を設けること,受講学生の中には,これまで固定電話に触れた経験がない学生もいるので,電話機の扱い方,受話器の握り方などから丁寧に説明すること,などが挙げられる.
事前敬語テスト,事後敬語テスト,実技テストの結果より,場面毎の敬語使用例の説明やロールプレイングを行う実践的な敬語教育は有益であることが示唆された.また,少人数クラスの方が,より高い効果を生むことも示唆された.