Society 5.0における精神的状況を教育人間学の視点から検討すると,人間がAIと共生するための教育的課題のひとつとして,ケアリング教育を挙げることができる.道徳教育においては,すでに,「ケアする心を育む」という立場も見られるが,「特別の教科」化により強度が高まり,「特別の教科 道徳」の在り方自体が模索されている.同様な状況は,平成29年告示の学習指導要領のもと,〈探究〉することの強度が高まった「総合的な学習の時間」にも見られる.しかし,「総合的な学習の時間」の学びをノディングズのケアリングの6領域を理論枠組みとして分析したところ,ケアリング教育の場としての可能性が明らかとなった.