2020 年 2020 巻 30 号 p. 21-27
本研究は,効果的なピア・レビュー(学生同士の相互評価)実施法を探求すべく,筆者が担当したキャリア教育科目「秘書実務演習」の授業内で行った,人前での電話応対実践における学生同士の相互評価,すなわち,学生のピア・レビューについての調査報告である.
人前での電話応対実践を,評価基準を明らかにした上で,教員と学生が評価することとし,学生同士で評価するにあたっては,学生同士で誰が誰を評価するのか明らかにした記名式ピア・レビュー(記名式学生相互評価)と,誰が誰を評価したのかが分からない無記名式ピア・レビュー(無記名式学生相互評価)を実施し,どちらがより教員の評価に近いのかを調査した.
調査の結果,わずかな差ではあるが,無記名式ピア・レビュー(無記名式学生相互評価)平均値の方が,記名式ピア・レビュー(記名式学生相互評価)平均値に比べて教員評価値に近く,記名式ピア・レビュー(記名式学生相互評価)は相手に遠慮をして評価が甘くなる傾向にあることがわかった.
ゆえに,より公正な学生同士の評価(教員の評価値に近い評価結果を導き出す学生同士の評価)を導くためには,無記名式ピア・レビュー(無記名式学生相互評価)の実践が求められることが示唆された.