人間生活文化研究
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Structural analysis of Dropouts and Repeaters in basic education schools in the Republic of the Union of Myanmar
Hiromitsu Muta
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2020 年 2020 巻 30 号 p. 40-59

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抄録

 国立基礎教育学校では,留年率,進級率,退学率から就学状況を見ると,2016 年度からの現政権下では,軍事政権下と比較してはもちろん,2011 年度からの民主化政権と比較しても高校課程を除き,すべての学年で就学状況の明確な改善があった.特にKG では義務教育ではなくなったこともあり,従来の高い退学率はほとんど0%になった.

 退学者はその時期によって,年度の変わり目に進級や留年なしで退学する者,進級はするが次の年度末までに退学する者,留年をして次の年度末までに退学する者に分けられる.Grade4 以上では,退学者の半数以上は年度の変わり目に発生する.Grade3 以下では従来は各学年で留年する者がある程度いて,それらのものが退学する傾向も強かったが,特に小学校課程低学年では留年する者が減少し,進学する者が増えたが,進学をした後,学年末までに退学する者の割合が増えている.

 モナスティック学校や私立学校の留年率はどの学年でも極めて低い.退学率という観点からは,特に私立学校では計算上の退学率が各学年大きな負値を示す.これは,各学年で私立学校システム外からのインフローが大きいことを示している.そのインフローの主な源泉は国立基礎教育学校からのアウトフローで,教育統計上ではこれまで退学として分類されていた部分である.特に,中学校課程,高校課程に進学する際に国立基礎教育学校から私立学校に進学移動する者が多い.さらに,モナスティック学校においても,Grade10 からGrade11 にかけて,多くの進級移動がみられる.しかも,これらインフローの大きな学校は市部に偏在している.学寮を持っている事も進級移動を助けている.一部のモナスティック学校や多くの私立学校の高校課程は特にGrade11 で大学受験準備課程化し,その規模を拡大している.

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© 2018 大妻女子大学人間生活文化研究所
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