本研究の目的は太陽王と呼ばれていたルイ14世のヘラクレスとしての表象についてその実態を明らかにすることである.
17世紀フランスを治世したルイ14世は,太陽王としての異名で知られるが,対外政策として顕示した雄姿にはギリシャ神話の英雄ヘラクレスに表象されるものもあった.そこで,フランスにおいて国王のイメージがどのように製作されるのか,ヘラクレスがフランス国王の表象として選ばれた背景及びそれがどのようにルイ14世のイメージ戦略に適用されたのか調査・考察した.
本稿はパリ市内,ヴェルサイユ宮殿,ルーヴル美術館,マザリーヌ図書館に現存するルイ14世の資料,オペラ『恋するヘラクレス』と喜劇『アンフィトリオン』の分析から浮き彫りになったルイ14世のイメージ戦略についての調査報告である.