人間生活文化研究
Online ISSN : 2187-1930
ISSN-L : 2187-1930
報告
Dental proportion chart to summarize change of mesiodistal and buccolingual crown diameters, crown module and crown index in different tooth classes
SATAKE TakashiYOSHIDA SatoruPEIRIS Roshan
著者情報
ジャーナル フリー

2021 年 2021 巻 31 号 p. 24-28

詳細
抄録

 人類学調査の歯の計測において,歯冠近遠心径,歯冠頬舌径は基本的な計測項目である.これらの計測値をグラフで示す場合,計測項目ごとに別のグラフにプロットして分析することが多い.本研究では座標平面のX座標に歯冠近遠心径,Y座標に歯冠頬舌径をとると,歯冠近遠心径,歯冠頬舌径の値から歯の指数で代表的な,歯冠モジュール(Crown Module:(歯冠近遠心径+歯冠頬舌径)÷2)と歯冠指数(Crown Index:(100*歯冠頬舌径)÷歯冠近遠心径)も同じグラフ上に示すことができるよう工夫した.このように歯冠近遠心径,歯冠頬舌径をもとに4変数を1つのグラフ上に示すことができる,歯冠多次元チャート(Dental Proportion Chart: DPC)を考案・作成した.歯冠の大きさとプロポーションは,歯種に伴う変化が大きくその変化のパターンには関心がもたれてきた.DPC上に中切歯から第三大臼歯の歯冠近遠心径,歯冠頬舌径をプロットすると,歯冠モジュールと歯冠指数の変化も一目でわかり,DPCを用いることにより,歯冠の大きさとプロポーションを同時に把握することができる.歯種による歯冠の大きさやプロポーションの変化から,歯の左右差,上下顎の差,個体差などの分析,また集団の各歯種の歯冠の平均値の変化パターンから,人種差,男女差などの分析に有用であるだろう.

著者関連情報
© 2021 大妻女子大学人間生活文化研究所
前の記事 次の記事
feedback
Top