2021 年 2021 巻 31 号 p. 382-392
かつての英国植民地トリニダードにおいて,白人エリートたちの邸宅であったグレートハウスは,奴隷制度の副産物とみなされている.なぜならアフリカ人奴隷などの労働力を搾取し続けたことによって築いた巨富を元手に建設されたものだからである.本稿は,そのようなグレートハウスの代表格であるマグニフィセント・セブンとカントリー・クラブが,現在のヨーロッパ系白人トリニダード人にとって,どのような意味を持つのかを探る.非白人を支配し酷使してきたとレッテルを貼られたヨーロッパ系白人トリニダード人に対して行った聞き取りから,マグニフィセント・セブンは大した意味を持たない一方,カントリー・クラブは白人としての意識の核心としての役割を担っていることが明らかになった.権威ある会員制クラブであるカントリー・クラブは,21世紀のトリニダードにおける白人社会においても,植民地時代から変わることなく白人同士の絆を強固にする役割を果たしている.