文献調査にもとづき,佐渡島の淡水魚類相の変遷を調べた.2012年の前回魚類相報告以降,本島の淡水魚類目録には2種の純淡水魚と1種の周縁性淡水魚が加わり,目録掲載種数は46種となった.魚類相の大きな特徴は,通し回遊魚,とくに両側回遊性ハゼ科魚類の種の多さであり,この特徴は過去60年間で大きく変化していなかった.しかし,人為的移入により,種全体に占める純淡水魚の割合がかつての4分の1から3分の1に上昇しており,これら移入種による生態系への影響が懸念された.種の移入防止のために講ずべき施策および侵入の早期発見のために実現すべき環境DNAベースの魚類群集モニタリングについて簡単に述べた.