2021 年 2021 巻 31 号 p. 656-666
本稿では,大喜多(2013)におけるパターン②の形式を持つアイヌ口承「ハリギリで舟を作った男のウエペケレ」,「カニの話」,「この砂赤い赤い」を題材に,主語的対応と述語的対応,および,新たに,述語的対応の下位の概念である動詞的対応と修飾語的対応の観点による分析をおこなった.その結果,本稿で分析した全ての要素対が動詞的対応からなっていることが確認された.このことは,本稿の口承テキストにおいては,要素対を形成するにおいて,動詞が果たす役割が大きいことを意味している.