アンダマン海のミェイ諸島は800をこえる岩礁と島嶼があり,その美しい自然環境がそのままに残されている.この地はかつて中世にはタイ領であったが,その後ビルマ領から英領へ,そしてビルマ独立後は再びビルマ領にかわり,現在はミャンマー領となっている.
旧イギリス時代には,これらの諸島の名称はイギリス式であったが,第2次世界大戦後はビルマの領土となり,国際社会の慣行に従って,島嶼名は徐々にミャンマーの現地呼称に変わり,現在に至っている.しかし,現在,国際的に使用されている地図上でも,ミェイ諸島の島々の名称には「英領時代の呼称」と「国際社会で多用されている呼称」そして「現地ミャンマーにおける呼称」が混在している.さらに地図上では,言語表記上の複雑さも反映して,分かりにくく,利用者を悩ませている.そこで,筆者らはこれらの3つの段階の諸島名称を調査,整理,比較して将来,より明解で混乱のない名称を検討するための基礎資料を作製した.統一感のある分かり易い名称とは,単純には現地呼称をそのまま使用することであろう.しかし,これまでの経緯を含めて,船舶や航空機の航行,現地の人々の多様な用途,外国人ビジネスマンや旅行者の使い勝手,学術的利用,そして国土の基本情報としての意義,などなどを斟酌すると,単純には書き替えられない理由は少なくなかろう.まずはこれらの情報を一覧できるように調査,整理し,しかるべく検討しやすいようにした資料があるべきである,という強い要望に応えたのがこの資料作成のねらいである.関係各位がこの一覧表を使用してそれぞれの最適な利用をしていただきたい.