2019年にミャンマー国を含むASEAN6カ国で小学校5年生を対象に,算数,読解力,書き方の標準学力調査が実施され,2020年にその結果が公表された.ミャンマー国は調査対象6カ国の中で中位の成績を示した.学力を説明する政策的な要因として最も重要なのは教授言語であるミャンマー語と児童が家庭で用いる言語の一致である.家庭の言語がミャンマー語でない場合特に書き方の学力で明確に低いが,算数でも差が見られる.言語の問題は特に学力の低い層で深刻である.
児童の学校への好感度を高めること,教員の問題行動が少ないこと,授業時間が確保されていること,学校が家庭の近くにあること,学年規模が大きくないこと,物理的学習環境が優れていることなども学力向上に寄与している.子どもの学習に対する親の積極的な関わり,子どもの教育への期待,過度な家事手伝いの免除なども学力向上に効果があり,親への啓蒙活動を通じて改善を図ることができると考えられる.