本研究では,学生が本来学ぶべき古典に焦点を当て,受講学生の古典嫌いを克服すべく,筆者が担当した,基盤科目「日本語Ⅱ」の授業内で行った実践授業プログラムの効果を検証した.
授業の内容は,学生の古典嫌いを克服できるように,受講学生が楽しめる参加型プログラムにした.具体的には,多くの受講学生が選んだ「枕草子」をテキストに指定し,古典が持つ音の響きの美しさを体感できるように丁寧に音読する時間を設けたり,原文を参考にして自身で随筆を執筆し,受講学生同士でそれらを味わい,楽しみを共有する古典実践授業を試みた.
検証の結果,授業前のアンケートでは,約7割の受講学生が「古典に興味がない」,「古典学習は嫌いだ」と回答していたが,授業開始後より,古典知識獲得→個別実践演習(セルフワーク)→協働学修(ピア・レビュー)というプロセスを経て,授業後のアンケートでは,全受講学生が「授業内容にとても満足した」,もしくは「授業内容に満足した」との回答が得られた.さらには,個々に実施した事後聞き取り調査での「授業を振り返ってどうか」との質問に,全受講学生が,「古典に少し興味を持つようになった」,「今後,古典作品を読んでみようと思う」,「古典の面白さを知った」等,古典に対する苦手意識を無くす契機に繋がる肯定的な回答をしており,一定の授業効果を確認することができた.