日本造血細胞移植学会雑誌
Online ISSN : 2186-5612
ISSN-L : 2186-5612
総説
HLA半合致移植の現状と課題
杉田 純一
著者情報
ジャーナル フリー

2016 年 5 巻 3 号 p. 64-73

詳細
抄録

 同種造血幹細胞移植は悪性または良性の血液疾患に治癒をもたらしうる有用な治療法であるが,適切なドナーがいなければ実施することはできない。同種造血幹細胞移植に最も適したドナーはHLA適合の血縁または非血縁ドナーであるがすべての患者にそのようなドナーが得られるとは限らない。HLA半合致ドナーであればすべての患者に得られる可能性があるが,HLA一致移植と比較して,GVHD,拒絶の両方のリスクが高いことが問題であった。近年,CD34陽性細胞純化やTCR-αβ陽性細胞除去などのex vivo T細胞除去,抗ヒト胸腺細胞グロブリン(ATG)またはalemtuzumabを用いたin vivo T細胞除去,移植後シクロホスファミドを用いた方法など様々な方法の開発によりHLAの障壁を乗り越えられるようになってきており急速にその適応は拡大している。

著者関連情報
© 2016 一般社団法人 日本造血細胞移植学会
前の記事 次の記事
feedback
Top