2011 年 20 巻 p. 161-170
シンポジウム「教育批判の思想史的根拠-長期的展望のなかで考える-」が設定された理由を、第18回大会に開催されたシンポジウム「検証:思想運動としての教育思想史学会-私たちに何かできたのか/できなかったのか」にて議論されたことに辿りながら、第20回大会で改めて問題にしようとしたこととは何だったのか、再度検証した。司会者である今井康雄氏のシンポジウム設定理由、並びに相馬、鈴木、田中各氏の3つの報告論文を検討しながら、そこに見られる問題意識の乖離とスタンスの違いを測量した。今井氏の設定した課題に対して、それぞれ「コメニウス」「ヘルバルト」「デューイ」を素材に「近代教育批判としての教育思想史」(相馬)、「見立てとしての教育思想史」(鈴木)、「真理出来論としての教育思想史」(田中)という3つの「教育思想史」観が提示された。それらの意味するものを考察するとともに、さらなる対話の可能性を模索した。